【要求の背景】 【公契約法の制定に向けて】 【要綱試案】
この取り組みの主軸となる『公契約条例(法)』とは、簡潔に言うと「公共事業の現場で働く全ての労働者に対して、(熟練労働者を基準とした)賃金の最低基準額を条例(法)により保証する」という考え方です。国際的にはILO(国際労働機関)により条例が採択されており当たり前の考え方だと言えますが、日本はこの条例を批准していません。これは先進国の中では異例なことであり、全建総連はこれを批准し国内法としての公契約法を制定することを長年にわたって各方面に求め続けてきました。
全建総連におけるこの取り組みの始まりは、全建総連がその『要綱試案』を作成した10年程前に遡りますが、現在のように活発化したのは、全建総連が「各地方自治体での条例制定を積み重ねて、中央段階での法律の制定を目指そう」と改めて提起した4年程前からです。
これは、厳しい不況を背景として建設産業における賃金・下請け単価の切り下げが吹き荒れる中、仲間からの切実な要求に基づいたものであり、現場労働者に適正な賃金を確保するための運動の主軸として位置付けられたものです。
現行の『総価方式』では全ての経費が一緒くたにして扱われるため、請負代金における『労務費部分』が明らかにされていません。このため、企業の利益が追求される中、実際には現場労働者の労務費部分が自由に削られてしまい、下請けを重ねる程に現場労働者が受け取る賃金額が少なくなってしまいます。しかも、現場の賃金を調査して決定される、公共工事の積算に用いられる『公共工事設計労務単価』は、このような状況が反映されることにより下落を続けており、悪循環に歯止めがかからない状況です。
実際に、国土交通省による調査の結果でも、建設労働者の平均年収は最も高額な40代で378万円となっており、これは同年代の他産業労働者と比べてかなり低いもので、とても生活していける金額ではありません。このような技能を有する職人の産業離れが進んでしまえば、建設産業そのものが衰退してしまいます。
また、平成13年2月16日に『公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律』が施行されましたが、その附帯決議において「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」と明記されており、現在のような市場任せの無法状態を是正するために、行政が決定的な介入をしていくことが必要なのは明らかです。
また、国や地方自治体が発注する事業に携わっているのは、建設産業従事者だけではありません。出版業者・清掃業者・給食業者なども建設業者と同様の状態に置かれており、公契約条例(法)の考え方はこれらの人々にも共感を持って受け入れられており、広範囲な共闘も始まっています。
建設産業の健全な将来を展望していくためにも、公契約条例(法)の制定に向けた取り組みはたいへん重要です。
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