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■ 建設国保に関する朝日新聞記事に対する抗議
(2010/1/05)


 朝日新聞東京本社 編集局長 殿

 昨年11月30日、貴紙は一面に「入院医療費実質タダ」、社会面に「削れぬ建設国保補助」との見出しで、私たちの建設国保があたかも特別に優遇されているかのような印象を与える記事を掲載しました。

 また、その後も12月9日朝刊には「国保組合剰余金870億円」、12月11日朝刊「補助金受けつつ上乗せ給付も」、12月23日朝刊「仕事でけが補償なし」、2010年1月5日朝刊「国保組合に隠れ補助金」との見出しで、全建総連関係の国保組合に関する報道がされました。

 これら一連の記事の主張は主に、@国庫補助が多い、A付加給付を行っている、B法定額を超える積立金を保有している、C労災関連の給付について違法の可能性が高い、D政治的影響力によって補助を受けている、とするものです。

 私たちは、これら一連の報道は非常に恣意的な決め付けで、かつ一方的な報道であると感じざるを得ません。かなり多くの時間を割いて取材を受けたにもかかわらず、このような不正確な報道となってしまったことは非常に残念です。



 私たちは、憲法第25条に基づき、国民が安心して生活することができる社会保障制度を確立し、健やかでいきいきとした、個人の尊厳が守られる福祉社会の実現を目指しています。

 こうした立場から2003年7月には、私たちの粘り強い要請によって衆議院と参議院の本会議で「建設労働者の医療の確保に大きな役割を果たしている建設国民健康保険組合の育成・強化に配慮してください」を内容とする「建設国保の育成を求める請願」が全会一致で採択されました。

 今、建設業で働く者はかつてない苦しみの中にあります。廃業、転業で組合を去っていく人たち。自ら命を絶つ人たち。そうした苦しい仲間への一助になれるよう、万が一、疾病を持った場合に、お金の心配をあまりしなくても医療にかかることができるよう、保険者としてできる限りの給付を行うことは社会保障の理念に基づくものであり、私たちは自らの運営努力で国保組合を育ててきたと自負しています。

 私たちはかつて、日雇健康保険の擬制適用という形で被用者保険に加入していたにもかかわらず、一編の厚生省次官通達によって国保制度への移行を余儀なくされました。以来、自前で建設国保組合を設立し、「自分たちの健康保険を守り、財政運営の健全化を図る」ためにさまざまな努力をしてきましたし、今後もこうした保険者機能を発揮する努力を続けていくことを明らかにします。

 また、私たちはこの間の記事について以下のように反論し、こうした記事を掲載した貴紙に建設職人・労働者の医療を守る立場から抗議します。



@「国庫補助が多い」
 国保組合に国庫補助が出されているには理由があります。被用者保険(協会けんぽ、健保組合)加入者は労働者と事業主で保険料を負担しています。市町村国保を含めて国保制度には事業主による保険料負担がありません。国保組合への国庫補助(全国保組合平均47%)が中小企業の労働者が加入する協会けんぽへの国庫補助(13%)より高いのはこのためです。

 また、市町村国保への補助は都道府県の法定分を合わせると50%で、様々な特別措置を加えると、6割位になるとされています。更に市町村の一般財源からの繰り入れもあります。

 「国保組合への国庫補助が、医療費の4〜6割」とあるのは誤りで、かかった医療費のうち、自己負担分3割分を除いた「医療給付費」に対して補助されており、医療費への補助ではありません。

 私たちの建設国保に多く補助が出されているかの印象を与える記事になっていますが、国保組合への補助率は、普通調整補助金によって所得が高く財政力の強い国保組合には低く、所得が低く財政力の弱い国保組合は高い仕組みになっています。

 また、1月5日の記事で「隠れ補助金」とされた「特別調整補助金」は、国民健康保険法第73条、同政令第5条で明確に規定されたものであり、「隠れ」などと指摘されるものではありません。さらに、「年度ごとの組合の財政力の変動等を考慮して各組合の財政を衡平に調整することを目途とする」とも規定されており、あたかも全建総連の予算要求運動によって「政治裁量」が行われているかのごとき記述は、全建総連に対する不当な決め付けといわざるを得ません。

A「付加給付を行っている」
 償還払い制度などの付加給付を行うことは、法律的に問題がありません。また付加給付に補助金が使われている事実はありません。

 付加給付は、私たちの仲間が、病気等で仕事に出ることできないときに、有給休暇制度や退職金制度が整えられた被用者保険の加入者と違い、無収入になってしまう建設職人の生活を支えるものです。その分、割高の保険料になることを、みんなで合意しながら行っているものです。

B「法定額を超える積立金を保有」
 積立金は市町村国保のように一般財源からの繰り入れがなく、被用者保険のように事業主負担がない等、財政基盤が強固でない国保組合に、国が設けた基準に基づき、都道府県の指導のもと、積み増しをしてきたものです。度重なる医療制度改革や伸張する医療費に備えるためのものであり、法定額を超えているものをすべて「剰余金」と決め付け、財政に余裕があるとする主張は乱暴なものといわざるを得ません。

C「労災関連の給付について違法の可能性が高い」
 私たちの建設国保に加入する被保険者の多くは町場で働く零細事業主や一人親方、重層下請労働者であるため、元請事業者から労災保険ではなく、医療保険で給付を受けるよう強要され、やむなく建設国保の保険証を使って治療を受ける人もいます。また、次の仕事の受注に差し障りが生じることを懸念したり、今の仕事に影響があるなどの理由で、労災保険に請求しないで自己負担する被保険者がいることも否定できません。

 しかし、「仕事中のけが」はもともと医療保険よりも手厚い給付や補償を受けられる労災保険で治療すべきです。国民健康保険法第56条では「国民健康保険の被保険者が、他の法令により給付を受けることができるときは、国保法の療養の給付又は療養費の支給は行わない」としています。したがって、労災事故では労災保険を国保より優先させることが国保法の立場です。しかし、貴紙の記事ではこの点をあえて伏せ、どんな場合にも国保の給付が優先であるように誤解を与えるものです。

 また、全建総連は積極的に事業所労災や事業主・一人親方の労災特別加入の運動を進めています。国保組合が無条件で労災事故を医療保険の対象にした場合、労災保険そのものを形骸化させることにもなりかねません。

D「政治的影響力によって補助を受けている」
 国保組合への国からの補助金は、法律では「補助することができる」となっており、市町村国保への国からの「負担金」とは違っています。私たちはそうしたこともあって、労働組合として仲間の要求を実現するため、当然の運動として与野党を問わず、毎年全政党の国会議員に対して国保組合の育成・強化、補助金の確保をお願いをしているのです。


全国建設労働組合総連合
書記長 古市 良洋


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