昨日、5月23日、自民・公明の連立与党と日本維新の会の賛成多数により、テロ対策を掲げて「共謀罪」を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は、衆議院本会議で可決され、参議院に送付されました。19日の法務委員会での採決強行に引き続き、審議を尽くさないままでの同法案の衆院通過に強く抗議します。
「共謀罪」は、二人以上が対象犯罪について合意、計画し、準備したら処罰するというもので、合意、計画があったと捜査当局が見なせば捜査に着手できることから、恣意的な捜査の拡大、密告の奨励、盗聴、盗撮などの違法捜査の正当化、市民運動や労働組合を対象とした弾圧策への転用などが懸念されます。
国会審議でも、組織的犯罪集団の規定や、一般人が捜査対象とされる問題などが論点として取り上げられましたが、議論は深まらず、共同通信社が衆院法務委員会での採決後の20、21日にわたり実施した世論調査では、「共謀罪」に関し、「政府の説明が十分だと思わない」との回答が77.2%に達するなど、審議が尽くされたとは決して言えません。同調査では「共謀罪」法案に賛成が39.9%だったのに対し、反対が41.4%で上回り、国会中に「成立させる必要はない」が56.1%にのぼっています。
全建総連は、日本の民主主義と国民の基本的人権に重大な影響を及ぼしかねない、この「共謀罪」法案の衆院通過に強く抗議するとともに、同法案の撤回、廃案をもとめて、憲法労組連の取り組みなどを通じて、国民各層と共同した運動に積極的に参加していきます。