第三次・担い手3法が12月12日に全面施行された。中央建設業審議会(中建審)が勧告した「労務費に関する基準」では、個々の技能者に、その経験・技能に応じた適正賃金が支払われるようにするため、公共工事・民間工事を問わず、発注者から技能者を雇用する建設業者までの、全ての取引段階における建設工事の請負契約において、適正な労務費(賃金の原資)の確保が示された。住宅分野を含む13職種・分野(型枠、鉄筋、左官、潜かん、橋梁、造園、住宅分野、電工、とび・土工、空調衛生、鉄骨、切断穿孔、警備)で基準値が公表されたことは、建設業全体で技能者の適正な賃金支払いをめざすルール作りと気運醸成が着実に前進していることを意味するものであり、全建総連の運動にとっても歴史的な成果である。
全建総連は昨年、組織の総力を結集し、「建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する100万人国会請願署名」に取り組み、参議院で請願採択を勝ち取った。改正担い手3法成立の後押しをすると共に、中建審「労務費の基準に関するワーキンググループ」に参画し、住宅分野での基準作成、適正な労務費の確保、建設現場作業従事者の適正な賃金・労務報酬の支払い等について、現場実態を踏まえた実効性確保を求めてきた。
勧告された基準では、建設業に従事する技能者の賃金水準について、公共工事・民間工事全体を通じて、まずは早急に公共工事設計労務単価並みの水準の行き渡り確保を目指すとしている。適正な賃金支払いの基準については、国土交通省が「CCUSレベル別年収」を改定し、標準値が設定された。町場・住宅現場を含めたCCUSの普及促進・就業履歴蓄積・能力評価(レベル判定)が更に重要となる。
基準を著しく下回る見積り・契約の禁止、建設Gメン等を中心とした調査・指導・監督、発注者に対しても勧告が行われ、サプライチェーン全体で技能者の適正な労務費確保・賃金支払いのために、請負契約における新たな取引ルールが策定された。これまでの「上流から下流へ価格が決まる」建設業の商慣習を、「下流から上流へ価格が決まる」構造へ変革していくことは、極めて画期的であり、全ての契約段階の工事金額に、適正な賃金・労務費・必要経費等をしっかりと積み上げていくことが必要となる。
全建総連は、改正担い手3法の実効性確保策の有効性の確認など、適切なフォローアップを求めていく。そして、第三次・担い手3法、「労務費に関する基準」を根拠とした、大幅な賃金・単価引き上げの要求・請求・交渉運動を前進させるために、全国の仲間が一丸となって「賃上げチャレンジミッション」を積極的に取り組んでいくことを、ここに表明する。
2025年12月12日
全国建設労働組合総連
書記長 小倉 範之