2018.08.07

お知らせ

書記長談話 多摩市ビル建設現場火災事故について

全国建設労働組合総連合 書記長 勝野圭司

 2018年7月26日に発生した東京都多摩市唐木田の「仮称:多摩テクノロジービルディング計画」現場の火災により、死亡者5名、負傷者42名(重症13名、中等症11名、軽症14名、搬送辞退等4名)の被害が発生しました。
 この重大災害によって、全建総連の首都圏の加盟組合の組合員、元組合員4名(現在の加入者3名、組合加入していたが社保加入により脱退した者1名)が、残念ながら尊い命を失うことになりました。負傷者42名の内、組合員数については現在調査中ですが、緊急搬送され、重傷で今も入院している組合員も確認されています。
 現在、詳しい出火原因は、消防庁が調査中ですが、当時、出火現場付近で働いていた従事者からの話によると、ガスバーナーで鉄骨を切断した際に飛び散った火花が隙間から落下し、地下4階の天井に張り付いたウレタン製の断熱材に引火したとみられています。作業リーダーがウレタンに引火しないように警戒していたとのことですが、地下3階の出火直後に停電、黒煙も充満し、作業員の避難が遅れた可能性があるとしています。
 施工を請け負っていた安藤ハザマは、昨年6月にも、東京江東区の物流センターの解体工事で、同様の火災を起こしていました。同社はその後、下請業者に作業手順の計画書を提出させ、避難ルートの確認を徹底するなど再発防止をルール化しましたが、教訓はいかされていませんでした。
 全建総連は、元請としての安全衛生管理に重大な問題があったと考え、安藤ハザマに対し、今回の重大災害事故の詳細原因の公表、すでに別の現場で起こった教訓が何故生かされなかったのか、今後再発しない具体的防止対策及び「元請負人による統括安全衛生管理」の徹底を求めます。そして、今回被災した建設工事従事者について労災補償と、残された遺族へのしっかりした補償・救済を求めます。
 また、監督官庁に対して施工方法や手順等が適正であったのか、工期はどうであったのか、今回の重大災害事故の発生以前にも同様の火災を起こしていたことについて、適正な指導と対策チェック等がなされていたのかの究明を求めます。
 重大災害事故による死亡者5名の内4名が組合関係者であったことは、全建総連組合結成以来の被害状況であり、重大な労災事故として遺憾の意を表し、亡くなった組合員の遺族等への早急な補償・救済、すべての現場でこうした大惨事が二度と起こらないように、国土交通省、厚生労働省、元請団体に対し、建設工事従事者の安全を第一とした対策を強く求めます。