2023.10.12

首都圏建設アスベスト訴訟・東京1陣の差戻審 結審

和解解決に向け勧試

被害者の救済へ入廷行進

 首都圏建設アスベスト訴訟・東京1陣の差戻審が10月10日に結審し、判決言渡期日は追って指定となりました。同時に、増田稔裁判長は、「本件の事案に鑑み、和解勧試(裁判官からの訴訟途中での和解の試み)する。和解の進め方は後日双方に連絡する」と述べ、和解勧試による解決が望ましいと宣明しました。
 東京1陣訴訟は2008年5月16日に建材メーカーを被告として提訴し、286人となる全国最大規模の訴訟です。提訴から15年が経過し、生存する一審原告者は約30人弱となり、一刻も早い解決が求められます。そうした状況を裁判官らも鑑み「和解解決が望ましい」という結審になったと見られます。
 国との関係では建設アスベスト給付金法が成立し、1年半の間に約5000人を超える被害者が認定されています。一方で、建材メーカーは基金に拠出することを拒否し続けている状況です。今後、東京1陣差戻審において、被告メーカーとの間で和解が成立すれば、建材メーカーらが参加する建設アスベスト補償基金制度を創設する上で大きな一歩となります。
 結審の同日、衆議院員第一会館で、約100人の参加で報告集会も開かれました。
集会では神奈川1陣の大園原告が「どれだけ訴えても建材メーカーは謝罪の言葉もない。長くたたかい続けているが、いつになったら終わるのだろうかと悔しい思いでいっぱい。しかし、仲間と励まし合いながら勝利をかち取るまで頑張りたい」と涙ながらに訴える場面もありました。
 首都圏建設アスベスト訴訟統一本部は、結審後の記者会見で「今回の和解勧試を高く評価している。今後も建材メーカーに対して和解協議を呼びかけるとともに政府、国会議員、国民へと支援を求めていきたい」と力強く話しました。